
こんにちは。オントロジー代表の稲垣です。当事務所では、会計税務顧問業務のみならず、業務プロセス改善提案やシステム導入支援や上場準備支援、システム監査といったサービスを主に提供しています。様々な規模の企業をサポートしてきた経験から、創業期から上場企業まで一気通貫で支援を行うことが可能です。
今回お届けするのは、AI開発を主として様々な事業展開をしている株式会社メロンにおける創業支援から上場子会社としてのPMIおよび連結決算支援です。私が株式会社メロンを支援することになったきっかけや、支援の内容、そして変化について管理マネージャー藤本様との対談を実施しました。
創業からM&A、そしてIPOまでの成長フェーズにおける課題と解決手法についてお話しておりますので、ぜひ参考にしてください。
01.株式会社メロンのプロフィール

藤本
よろしくお願いします。
株式会社メロンは、「技術と人を繋ぐ。」というミッションのもと、AI/データサイエンス領域の受託開発やSESなどを展開している会社です。
AI開発と組織構築により、あらゆる企業のデータ活用実現を支援しています。
そして私は藤本と申しまして、現在、当社で経理業務を担当しています。
元々営業事務として働いていたのですが、出産後の再就職を考えていたときに、CTOの本田さんから声をかけてもらって、「営業事務として手伝ってもらえないか?」と入りました。
未経験なのですが、そこから気づいたら経理業務もカバーすることになりました。
稲垣
まさかの本田さんからの紹介だったんですね!というか、元々営業事務だったんですね。
藤本
そうなんです。ちょうどその頃、経理担当の方が辞めることになって「経理もお願いできる?」と聞かれて。
学生時代に商業科だったので簿記の基礎はありましたが、実務は全くの未経験で。まさにゼロスタートでした。
藤本
稲垣さんはどのような形でメロンと関わることになったんですか?
稲垣
大学の同級生からの紹介ですね。
私と三橋さんの共通の友人が大学にいて、ちょうど起業する友人がいるという話を聞いて三橋さんを紹介されました。
その縁もあり、創業時から顧問契約を結ぶことになりました。
創業時からのサポート・成長と共に抱えていた課題
ゼロスタートからスピード成長に追いつく仕組みづくり
─“整える力”で支えた稲垣流バックオフィス改革

藤本
稲垣さんは創業時からメロンに関わっていたようですが、やっぱり大変でしたか?
稲垣
そうですね。設立当初からマネーフォワードクラウド会計をベースに業務を構築していたので、最低限の仕組みは整えられたかと思います。
初期段階から諸々の設計からサポートしていたため、比較的クイックに締められる体制を構築できてたのが良かったですね。
しかし、メロンの成長速度が早すぎたことから、それに見合うバックオフィスの体制強化が求められてたので、そのタイミングで藤本さんが入ってくださって非常に助かりました!これぞ圧倒的成長ですね。
藤本
いえいえ。先程もお伝えした通り、私は経理未経験だったのでお役に立てたのかわかりません。
入社当初は仕訳の勉強をしたり、簿記の知識を復習したりもしてましたが、やはり実務が一番身につけられるかなと思います。
特に2期目の決算のタイミングで稲垣さんにサポートしてもらえたことで、ようやく一連の流れが自分の中でつながってきた感覚がありました。
稲垣
藤本さんの圧倒的成長に寄与できたのであれば嬉しいです笑
そういえば弊社との関わっていく中で、ここが非常に助かったという点はありますか?
藤本
そうですねぇ。SlackやGoogleドライブなど、多くのスタートアップが使ってるツールをベースにやり取りしてくださるのが大きいですね。
ですが、一番は「資料の整理」について諸々教えてくださった点が大きいかと思います。
稲垣さんから月次決算のスケジューリング方法や、資料の格納ルール、ツールの選定、各種テンプレートの整備などを通じて、実務に沿ったアドバイスをいただきました。このような整理は放っておくと雑になってしまいがちなのですが、おかげさまでスムーズに管理が出来、M&Aの交渉や上場子会社化に伴う連結財務諸表作成などに関することにも役立ちました。
資金調達やM&Aなどの諸々において「バックオフィスの整備」は本当に大きな武器になると感じました。
稲垣
ありがとうございます!このあたりは税理士や会計士でも不得手な人が多いので、このあたりは私の強みになりますね。
M&Aに向けたオントロジーの伴走支援
“準備していたからこそ乗り越えられた”
─上場子会社化までの軌跡

おやおや、後ろに写っているものは・・・
稲垣
そういえば2025年4月1日から、メロンさんはM&Aで株式会社データ・アプリケーションの子会社になりましたよね。
上場子会社になるまでの苦労や、上場子会社になった後に変わったことなどはありましたか?
藤本
そうですねぇ。それではまずは上場子会社になるまでの話からします。
M&Aを行う前には、 DD(デュー・デリジェンス)という形で調査を行うんですね。この調査では、契約書や売上管理表、債権債務の一覧などが一気に求められるんですよね。これらの資料を「パッと出せる」状態にしておくことにより、スムーズな交渉が進められるようになります。
売上管理表や債権債務の管理表は、稲垣さんから「こういうのがあると便利ですよ」と助言をもらって作ったものだったんですが、それがまさにそのまま活きたという場面であり、本当に助かりました。
「バックオフィスの整備」を真面目にやってきたことがまさに活きましたね。
稲垣
それはまさに良かったアクションですね。
こういうM&Aとかでバックオフィスというのが意外と重要になったりするんですよね。管理体制の甘さのおかげで企業価値を下げられたり、セキュリティ体制の甘さのおかげでプロダクトの売却価格が下がったりとか、思いも寄らない事例があったりもします。
そういう意味で、バックオフィスの価値がいい感じで出ているのではと思います。
稲垣
また、メロンさんは結果的にスムーズにM&Aが進んだ印象があるんですけど、これからM&Aを目指す会社が「これはやっとけ!」って思うことはありますか?
藤本
一番は「資料の整理」です。
契約書や売上管理表、債権債務の一覧など、「パッと出せる」状態にしておくことが、スムーズな調査や交渉に直結しました。
過去に稲垣さんにアドバイスをいただいた後に作るようになった資料もあり、月次決算の正確性の向上や、デュー・デリジェンス対応時の証跡として提出したことはとても役に立ちました。
私の場合は何度か銀行融資の対応経験もあって、それもすごく活きました。
M&Aに限らず、外部との交渉や資金調達といった重要な場面でこそ、日々の整理と仕組みが“信頼を生む土台”になると強く実感しました。
決算業務の高速化に向けた実行体制の整備
上場子会社化で求められた経理の質とスピードの両立

稲垣
M&Aの前もそうですが、上場子会社になってから、管理部に求められる水準や仕事に変化はありましたか?
藤本
かなり変わりましたね。かなり要求が上がったと思います。
月次決算の早期化や役員会への報告体制の整備・連結決算対応や内部統制の報告など、やることがかなり増えましたね。
特に月次決算の早期化は本当に苦労しました。
これまでは2週間程度で月次決算を締めて、間違いがあっても後から調整すればよかったんですが、上場子会社になってからは4-5営業日で前月末の正確な数字を出す必要が出てきて、かなりスピード感と正確性が求められるようになりました。
そのためには月次で作業内容を洗い出す、期限と作業内容を定めたチェックリストを用いて作業スケジュールを管理するなどある程度の仕組み化が求められると思います。
稲垣
そうですね。上場企業の子会社になると決算に求められるスピードと質が圧倒的に変わりますからね。
四半期決算などは45日以内に開示しないといけないため、逆算すると5営業日くらいには月次決算を締めて7営業日までには経営会議や取締役会に資料を提出しないといけないですから、かなりスピードが変わります。
その際に藤本さんはどのように対応をしましたか?
藤本
そうですね。親会社からまずは「これをやれ!」というリストをもらったのですが、到底一人で終わるボリュームじゃありませんでした。
なので、稲垣さんと作戦会議をして、優先順位づけを行い、やるべきことを洗い出ししました。
その中で、月次決算早期化のために、請求書の回収プロセスを見直すためのツールを導入することもしましたね。
稲垣
そうですね。一気にすべてをこなすのが無理な分量の依頼がきますものね。これも上場子会社化あるあるなんですかね。
その中で私の支援が役に立ったのはどのような部分でしたか?
藤本
それは色々あるんですが、、一番助かったのは「業務の全体像や将来のビジョンを理解したうえで整理をしてくれること」ですね。
当社はM&Aした後にIPOすることも目指しているんですが、IPOのためには決算早期化のみならず、内部統制やガバナンスも構築する必要があります。
稲垣さんの場合は、決算早期化のためにシステムの導入を進めた際にも、将来のスケーリングに対応してくれるかつ、現状不要なものは「いつまでにやる」と決めてくださることから大変助かりました。
こうしたことは、ChatGPTに相談しても100%正確な答えは返ってこないので、ノウハウを持っている稲垣さんの存在はとても頼りになりました。やっぱり専門知識については生成AIはまだ甘いので・・・!
その結果、決算早期化は比較的スムーズに出来たのではと思います。
また、連結決算が今後控えているのですが、必要な論点について既に洗い出してくださっているので、なんとかなると信じてます!笑
稲垣
藤本さんの頑張りが大きいのですが、月次決算の早期化はかなりスムーズに進んだのではと思います。
スムーズすぎても三橋社長から「サクッといってるなら簡単なんじゃね?」と思われてしますので、この場を持って藤本さんがすごい頑張ってることを伝えましょう!笑
連結は何とかするよう頑張ります!笑
藤本
そうですよ!三橋さん!ちゃんと評価してください!笑
今後の展望・ビジョン
ガバナンスと運用の土台を整え、“強くしなやかな組織”へ
稲垣
ここからさらにIPOも視野に入ってくるフェーズだと思いますが、どんな課題感を持っていますか?
藤本
まずはガバナンスですね。
承認フローがまだ整っていない部分があるので、監査役や第三者チェックの体制を整えないと、と思っています。
あとはオンボーディングやアカウント管理についても全体的に仕組み化が必要だと思います。
稲垣
今後の成長を支える仕組みづくりが求められるタイミングですよね。
特にメロンは良い意味で少数精鋭で頑張ってきた側面があるため、そこから組織的な経営にレベルアップしていくことが求められると思います。
僕の理想的な状況は「頑張りすぎないけど締めるところはきちんと締める」という状態を作ることですかねぇ。
藤本
ありがたいです。
ベンチャーのフェーズをわかってくれる専門家がそばにいるというのは、本当に心強いです。
稲垣
藤本
はい、読んでおきます!(笑)
最後にーontologyの企業支援の在り方
ベンチャーの熱量と専門家の知見が交わる時、企業は加速する

稲垣
最後に、弊社のような支援を通じて「こういう企業と相性が良い」と感じる点があれば教えてください。
藤本
やはり、ベンチャー企業に寄り添ってくれる姿勢があるというのが大きいです。
うちはまだそこまで大きな企業ではないですが、「この規模ならここまで」「この業種ならこれくらい」といった感覚で会社の成長度合いや規模感に合わせた対応をしてもらえるのがとても助かっています。
また、ソフトウェアやAIにも理解があるので、ツールの導入支援もスムーズでした。型にはまった支援ではなく、企業のステージに応じて柔軟に対応してくれる。そうしたスタンスが、私たちのような成長企業には最適だと思います。
稲垣
ありがとうございます。
会社の歩みに合わせたサポートができるのは、これまでの僕の経験が活きるところだと思います。
今後もメロンさんの成長に伴走できるよう、全力で支援させていただきます。
DX化・業務改善でお悩みならお気軽にご相談ください
今回は、株式会社メロンと二人三脚で取り組んだ、創業サポートから上場子会社化に伴うPMI、決算早期化や連結対応についてお届けしました。
当事務所では、私が持つ会計税務の専門知識とITスキルを掛け合わせて、経営者様の創りたい未来をサポートしています。前段でお伝えしたとおり、業務オペレーションの見直しやシステム導入といった業務改善により、スムーズなM&AによるEXIT、PMIが実現できました。
メロンさんのように、スケール途中のスタートアップ企業はもちろんのこと、これから事業を創ろうとお考えの起業家さまも、ぜひお気軽にお問い合わせください。フェーズに合わせたシステム導入の提案や、IPOを見据えた体制作り、M&Aのためのオペレーション改善などの相談をお待ちしております。
稲垣
このたびは対談のお時間をいただきありがとうございます。
今回は、株式会社メロンのバックオフィス体制構築やM&Aを経ての変化などについて、お話をうかがえればと思っています。
まずは、藤本さんご自身と、株式会社メロンについてご紹介いただけますか?