はじめに
昨今DXの(デジタルトランスフォーメーション)という単語が流行っておりますが、DXにも様々な意味があり、誰に相談をすればいいのかそもそもわからない・・・。そう思っている方は実は多いかと思います。
そこで、この記事では、公認会計士・システム監査技術者の資格を有する筆者が、過去の経験等も踏まえ、DXの定義及び主な相談相手の選び方について解説を行います。
DXの定義及び、よくある失敗例
DXの定義
経済産業省によると、DXは以下のように定義されています。
DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
「DX 推進指標」とそのガイダンス 経済産業省
これらの定義を細かく定義すると、以下のようになります。
- データとデジタル技術を活用
- 製品やサービス、ビジネスモデルを変革
- 業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革
- 競争上の優位性を確立
ここで重要な点は、単にデジタル化を進めるのみならず、ビジネスモデルや組織文化等を含めた改革を行う必要がある点です。
そのため、単にツールを入れるのみならず、組織を変えるという強い意思を持ってDXを実践していくことが必要になります。
DXの良くある失敗例
DXには実践することが思ったよりも難しいです。
良くある失敗については、以下の表にまとめたので、ご参考にしていただけると幸いです。
これらは1項目で1つの記事が書けるくらいののボリュームになるので、詳細については割愛致します。
また、中小企業にDXが進まない理由については、筆者が別記事に書いてありますので、こちらも一読いただけると幸いです。
DX化のための相談相手
DXについては何となくイメージがついたかと思いますが、「DX化を進めるにあたって誰に相談すれば良いんだろ?」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、中小企業の経営に対する相談相手は誰なのか? どうやって相談相手を選べば良いのか?という点について解説を行います
中小企業の経営に関する相談相手
中有章企業白書(2020)によると、中小企業の日常的な経営に関する相談相手の属性は、以下のようになっております。
日常的な相談相手として公認会計士・税理士が1位になっておりますね。
公認会計士や税理士は、ビジネスを数値で語ってくれることから、経営に関する事実を把握することが得意であることから、このような数値になっているかと思います。
また、その次に多いのは「同業種の経営者仲間」であります。
これは、同じ業種特有の悩みに共感してくれる相手・個別具体的な相談をしやすい相手という意味でこの数字が選ばれていると思います。
また、中小企業白書(2020)によると、成長企業ほど「専門家」や「取引先以外の経営者」などの外部から支援を受けている割合が高い傾向にあるとされております。
したがって、外部の意見を取り入れつつ経営を行うのは有効ということになります。
DXの相談相手一覧
日常的な経営に関しての相談相手や、相談が得意な観点などを記載しました。
しかし、DXに関しては誰に相談すればいいのでしょうか?そこで、DXに関する主な相談相手とそれらのメリット等を比較してみましょう
公認会計士・税理士
先程中小企業の経営者の相談相手として一番選ばれているのは公認会計士・税理士だと解説しました。
そのため、公認会計士・税理士と定期的にコミュニケーションを取っている場合は、企業のビジネスに関する前提知識が備わっているため、企業が抱えているデジタルに関する問題点も理解しているはずです。そのため、とりあえず相談をするには良いかと思います。
しかし、公認会計士・税理士はあくまで会計税務の専門家であり、DXに関する知識を持っているかは本人次第になります。税理士の平均年齢は65歳であることから、実は業界全体としてITに疎いのです。
そのため、相手のITスキルを見極めたうえで、深い相談をするのが望ましいです。
また、DXや業務プロセスに関する知識の深さは、税理士のみの資格を有している人よりも、公認会計士の資格を保有している人のほうが高い傾向にあります。なぜなら、公認会計士は内部統制監査や財務諸表監査を通じて、企業のビジネス及び業務プロセスを理解していることが多いからです。
同業の経営者仲間
会計士・税理士に対する相談相手として選ばれているのは、経営者になります。
同業の経営者は、非常に事業に対する当事者意識が強く、自社のDX化に対しても非常に関心を持っているため、DXの経験談などあれば非常に具体的な情報を得られる可能性があります。また、業界慣行にも非常に明るいことから、事業特有の問題点への具体的な対応策に詳しい可能性もあります。
しかし、彼らはあくまでDXに関するサンプルが経験ベース(n=1)である可能性が高く、あくまで経験談の可能性が高いです。したがって、情報はしっかり吟味する必要があると考えられます。
DXコンサルタント
最近はDXが一般化してきたことにより、DXコンサルタントという職種が出てきました。
DXコンサルタントは、コンサルティング会社でIT導入支援を行う経験があったり、事業会社で業務効率化を進めてきた人など様々なケースがあります。
コンサルタントという名称にありがちなのですが、コンサルタントは名乗るだけなら誰でも可能であるため、その人の経歴や実績等を見た上できちんとアサインをすることが求められます。また、コンサルタントという名称の人が実際に手を動かして業務を行うことが出来るのかという点も検討することも重要だと考えられます。
それぞれの相談相手を比較
それぞれの相談相手ごとのメリット・デメリットを簡易的にまとめました。
これらの相談能力は相手の能力次第という身も蓋もない話にはなってしまいますが、相談相手の属性の参考にしていただけると幸いです。
相談相手 | メリット | デメリット |
公認会計士・税理士 | ・企業のビジネスを理解している ・数値面も含めた提案をしてくれる | ・ITリテラシーは人次第 |
同業の経営者仲間 | ・事業特有の問題意識をよく知る ・具体的な情報をくれることもある | ・経験ベースの知識 ・手伝ってくれる可能性は低 |
DXコンサルタント | ・経歴と能力次第では優秀 | ・事業理解レベルは人次第 ・能力を見極めする必要あり |
相談相手の選び方
この段落では、どんな属性の相談相手を選ぶとしても、ここだけは吟味する必要がある要素を説明します。
①企業のビジネスをシッカリと理解してくれる
DX化の大前提は、ビジネスをしっかりと理解したうえで、効果的な施策を行うことになります。
したがって、DXの相談相手が、ビジネスをシッカリ理解してくれたうえで提案及び実行に協力してくれる人である必要があります。
②DX推進に強くコミットをしてくれる
DXを行う大前提として、経営トップがビジョンを実現するという強い意志が必須になります。
そのため、経営者のビジョンがブレてしまうと、DXに関して結局推し進められないことになります。特に経営者は考えることが多いため、業務に追われることもよくあると思います。
そのため、DX推進に対して強い意志で進めるためにコミットしてくれる意思及び能力を持った人と組むことで、DX推進をより強固に進められう人
③実際に手を動かして作業を進められる
DX推進においては、「技術で何が出来るかわかっている人」と「事業をわかっていてアイデアを出せる人」が連携することが重要です。
特に「技術で何が出来るかわかっている人」が中小企業には少ないことから、実際に手を動かして作業を進められる人と組むことが非常に重要であると考えられます。
さいごに
最後まで読んで頂きありがとうございました。
DX化は今後の日本企業において非常に重要な施策であるため、経営者が立ち向かわなければいけない領域であります。
しかし、実際にDXを実践することは難しく、相談する相手を探すのは非常に難しいかもしれません。特に日常的に相談に載ってくれる公認会計士・税理士がITに明るいこととてもレアだと考えられます。
当社には、公認会計士・税理士・システム監査技術者の資格を持った、経営管理本の執筆経験を持った、DXのスペシャリストが在籍していることから、DXに係るサポートが得意です。
例えば、1年間でベンチャー企業の経理部の残業時間を月120時間削減した経験もあることから、DXに関する領域は得意領域です。
もしDX推進に迷われている経営者の方は、お気軽にお問い合わせください。