会計データ分析とデータ分析基盤

はじめに

世の中で財務諸表分析というものが流行っているように見える。本屋のビジネス書コーナーを眺めてみても財務諸表の読み方に関する本がズラッと並んでおり、ネットでも大手町のランダムウォーカーさんなどが、会計クイズという名目で財務諸表を見て企業名を当てるクイズなどを行っている。

そのため、今回は得られる情報別に出来る分析と、データ分析基盤の必要性について検討してみます。

財務諸表のみで出来る分析

  • 期間比較増減分析
  • ROI
  • ROE
  • 総資本回転率
  • 売上債権回収率
  • 諸々

これらの分析は財務諸表と四則演算があれば出来る分析である。これらの情報を活用して投資家が企業間比較を行ったりすることもある。しかし、投資家はアクセスできる情報に制限があるため、取引先別の売上高と商品ごとを横並びで分析するなどは難しいだろう。

試算表と仕訳情報で出来ること

試算表と仕訳を用いた分析は、財務諸表のみ利用した分析と比較して、仕訳一本ずつの情報や補助科目と行った詳細情報にアクセスすることも可能であるため、より深い分析が可能である。

  • 取引先別売上分析
  • 仕入先別のランキング

しかし、商品明細は販売明細などのデータを仕訳情報に変換する際に、削ぎ落とされてしまうデータも存在することから、商品別データなど削ぎ落とされてしまうデータも存在する。

  • 商品明細
  • 顧客別の売上明細
  • 店舗別の客層ごとの売上

そのため、より効果的な示唆を得るために

非財務データを用いる場合

管理会計などで高度な分析を実施する際には、財務情報のみならず、その元データになる非財務データも効果的に活用する必要があるだろう。しかし、非財務情報は以下の制約からアクセス及び加工が容易ではない

  • 各部門に対する依頼してから時間がかかる
  • データのアクセスコントロールで制限がある
  • データの形式が自由で加工コストが時間かかる
  • セル結合

上記の内容には大したことがないものから、大きな手間になるものも含まれているが、これらが積み上がってしまうと結局情報活用をしない意思決定に至ることになるだろう。

こうした分析を阻害するものは、組織の壁と情報の流れが整備されていないことに収斂するだろ。

非財務情報を効果的に使う場合と必要な知識

各部門ごとにデータがバラバラに保存・活用されていることから情報に分断が産まれてしまうことを、データのサイロ化といいます。

サイロ化を防ぐために使われるものとして、データレイクとデータウェアハウスがあります。構造化データ及び非構造化データを溜めておくデータレイク・それらを使いやすい形に変換して活用の下地を作るデータウェアハウスは近年ニーズが高まっており、導入を期待する企業も多い。

データ分析基盤のイメージは以下のようになります。

これらを導入するために必要な知識は以下のようなものが考えられると思います。

  • データベースに関する基本的な知識
    • DB構成
    • 正規化
    • データ構造及び
  • データ分析基盤構築のための理解
    • データ収集・データレイク・データウェアハウス構築のためのツールの理解
    • データ収集及び加工のためのプログラミング知識
    • 部門間の情報伝達とボトルネックの識別
  • データ分析自体の知識
    • ビジネスに関する基本的理解
    • 分析手法の理解(数学に関する知見も含む)

これらを勉強する際に以下のテキストを使いましたが、非常にわかりやすく手を動かしながら学ぶには非常に有効だと思いました。 https://amzn.to/35sBMGI

具体的なイメージを知りたい方は、マネーフォワードのデータ分析チームのブログなど bvは非常に参考になるため、興味ある方は一読いただくのが良いだろう。 https://note.biz.moneyforward.com/n/ncf910c615db1

さいごに

会計業務において得られる情報ごとに、どのような分析ができるのかについてまとめてみた。当たり前の話ではあるが、情報が多いほど深い分析が出来る傾向がありますが、情報を得るまでの期間がスタックになるケースもあります。そのため、データ分析基盤の構築を行うことで解決が出来る可能性がある。

また、会計士や経理人材が内部統制について触れる機会もあるが、実際のデータ基盤構築までに目線が行くことは非常に少ないように見受けられる。そのため、どのようなデータ形式でデータを保持するか、データパイプラインをどう構築するかが重要になるだろう。

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