はじめに
システム監査技術者とは、システム監査を行う内部監査人や情報システム部の担当者、システム監査を行う公認会計士などが取得する資格になります。
筆者は公認会計士として、IPO支援や上場企業の内部統制構築支援、会計監査におけるシステム監査を行う必要がありました。そこで、システム監査のノウハウを身につけるためにシステム監査技術者試験を受験することにしました。その結果、3ヶ月程度で一発合格をすることができました。
この記事では、筆者の経験を通じて、システム監査技術者試験に合格するための方法を書いていきます。この記事を読むことで少しでも参考になれば嬉しいです。
この記事を読んでわかること
- 2026年度からのシステム監査技術者試験の変更点(CBT方式への移行・科目名の変更)
- 合格までの3ヶ月間に、何をどの順番で勉強すればよいか
- 午前Ⅰ〜午後Ⅰ(科目A-1〜B-1)の過去問対策のポイント
- 午後Ⅱ(科目B-2)の論文で合否を分ける「答案構成」の作り方
2026年度からの変更点:CBT方式への移行と科目名の変更
勉強法の前に、2026年度からの試験の変更点を整理しておきます。以下はIPAが公表している内容です(出典:IPA「システム監査技術者試験」)。
- 2026年度からCBT方式に移行し、会場のパソコンにキーボードとマウスで解答します(特別措置試験を除く)
- システム監査技術者は「後期試験」に区分され、2027年2月頃の実施予定です
- 午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱは、科目A-1・A-2・B-1・B-2に名称が変わります(時間・形式は同じ)。午前Ⅰ免除は「科目A-1免除」として継続予定です
- 現行制度は2026年度で終了し、2027年度から新試験制度に移行する予定です
| 従来の名称 | 2026年度からの名称 | 形式 |
|---|---|---|
| 午前Ⅰ | 科目A-1 | 選択式 |
| 午前Ⅱ | 科目A-2 | 選択式 |
| 午後Ⅰ | 科目B-1 | 記述式(大問3問から2問を選択) |
| 午後Ⅱ | 科目B-2 | 論述式(大問2問から1問を選択・2時間) |
なお、この科目名の対応は、試験時間と形式が一致することから筆者が整理したものです。本記事では、検索でも探しやすいように「午前Ⅰ(現:科目A-1)」のように併記していきます。最新の実施要項は、必ずIPAの公式ページでご確認ください。
合格までのステップ
1ヶ月目①:応用情報技術者レベルの学力を身につける
システム監査技術者試験はIPAが主催する情報処理技術者試験の高度試験に該当するものであり、応用情報技術者レベルの知識があることが前提になっています。そのため、システム監査技術者試験でも午前Ⅰ(現:科目A-1)において応用情報技術者試験の午前問題相当の内容が出題されます。
この範囲の学習は応用情報技術者のテキストを一冊マスターすれば習得できると思います。筆者は以下の教材を利用していました(筆者が受験時に使ったのは旧年度版のため、以下には現在入手できる最新版を掲載しています)。
ちなみに、システム監査技術者試験の午前Ⅰ(科目A-1)は、応用情報技術者試験に合格すると2年間免除になるので、応用情報技術者に合格してから受験する方が気持ちの負担が軽くなります(筆者もそうでした)。この免除は、2026年度以降も「科目A-1免除」として継続される予定です。
もし応用情報技術者試験を受験していない方は、応用情報技術者試験の勉強をしてみるのも良いかもしれないですね(応用情報技術者試験の勉強法は以下になります)。
1ヶ月目②:システム監査の基本を学ぶ
システム監査技術者試験に合格するためには、そもそもシステム監査とは何かを身につける必要があります。
監査のプロセスを抽象的にまとめると、以下のとおりです。
リスク評価(計画立案・事前調査等)→リスク対応(監査手続の実施)→結論の報告(監査報告)
このプロセスは通常の業務で実施することはなかなかないので、身につけるために苦労しがちな内容です(監査実施のプロセスを理解している公認会計士は、この点でシステム監査技術者試験に合格しやすいと言えます)。なお、実務でのシステム監査の進め方は、システム監査のサービス紹介もあわせてご覧ください。
システム監査の基本を身につけるためには、まずは以下の一冊を通読することがおすすめです。これを3回通読すれば、きっと基本的な知識は習得できるかと思います。
2〜3ヶ月目:午前Ⅰ〜午後Ⅰ(科目A-1〜B-1)の過去問対策
島田裕次氏の『よくわかるシステム監査の実務解説』(以下、島田本)を読み終えたのであれば、ある程度のシステム監査に関する知識が身についているかと思います。
しかし、これだけではインプットのみであり、アウトプットまではできていません。アウトプットを繰り返し行うことで、知識の定着と合格のために必要な知識を身につけることができます。
午前Ⅰ(現:科目A-1)から午後Ⅰ(現:科目B-1)までは、以下のような勉強を行えば、合格ラインに達することができるでしょう。
午前Ⅰ(現:科目A-1・選択式)対策
応用情報技術者試験の午前の問題をこなすことに尽きます!
以下のリンクに記載の過去問道場を用いることで、応用情報技術者試験レベルの知識を身につけることが可能でしょう。
https://www.ap-siken.com/apkakomon.php
午前Ⅱ(現:科目A-2・選択式)対策
結論から言うと、午前Ⅰと午後Ⅰの対策をすれば、午前Ⅱの対策はいらないと思います。なぜなら、午前Ⅱで問われる内容の多くは、午後試験の対策で身につくからです。筆者も午前Ⅱの対策はほぼやっていませんでした。
午前Ⅱの問題の半数がシステム監査関連の問題で、残り半分が午前Ⅰの範囲から出題されます。午後試験の対策をきちんとおこなえば、システム監査に関する範囲に関してはほぼ正答できるようになります。すなわち、午後試験の対策をきちんと行うことが午前Ⅱの対策につながるということです。
とはいえ、午前Ⅱに多少不安があるのであれば、応用情報技術者のテキストを使って復習する程度で足りるでしょう。
午後Ⅰ(現:科目B-1・記述式)対策
午後Ⅰは記述式の問題になります。
こちらは大問3問から2問を選択して、問題文の内容をベースに回答していく形式になります。どんな問題が出るのかは本番までわからないため、試験が始まったタイミングでとりあえず問題をすべて眺め、自分が解きやすそうな問題を選べればよいかと思います。
午前Ⅰ・Ⅱまでの知識を踏まえたうえで、問題文に沿った回答ができることが問われていますので、難易度は午前に比べて明らかに高いです。
問題のパターンや知識については、先述のテキストを重点的に行えば問題はないですが、重要なことは聞かれたことに答えることに尽きます。
IPAが提供する採点講評を見るに、「解答として求めているのは○○であり、××ではない」、「どのようなリスクがあるから、どの統制が求められているかを書け」など、聞かれたことに答えられていない解答や、問題文から課題を読み解けていない解答が多いと推察されます。そうした点では、ある程度の国語力が必要になりますが、逆に言えば、問いに沿って答えられれば加点につながると思います。
筆者は午後Ⅰの対策として、TACのテキストを一通り読んだ後、付属の問題を2〜3回解いていました。そのうえで、聞かれたことに答えられているかという観点で見直していました。
この程度やれば、システム監査上必要な知識を解答用紙に落とし込めるようになると思います。
2〜3ヶ月目:午後Ⅱ(科目B-2)の論文対策
午後Ⅱ(現:科目B-2)の特徴と合格までの道のり
午後Ⅱは、大問2つから1問選択して、そのテーマに沿った論文を2時間で書くことが求められます。これがシステム監査技術者試験で一番キツイパートです。
問題はほぼテンプレート化されており、特定のお題に対して、以下のような内容を書くことが求められます。
- リスクの把握
- リスクの評価
- それに対応する監査手続
重要なのは、リスクの把握と評価・それに対応する監査手続をセットで組み立てた答案構成をすることです。採点講評を見るに、以下のように論文としての体裁がなっていない文章が多いようです。
- 問題文の趣旨または設問に沿っていない論述が散見された(問いに答えていない)
- 監査手続が不十分である(あくまで監査ということを忘れている)
- 論文の体裁になっていない(論文の構成が頭に入っておらず、アウトプットイメージが湧いていない)
そうしたことから、以下を念頭において勉強を行うことが望ましいと考えられます。
- システム監査人のマインドセットを理解したうえで、問題に取り組む
- リスク評価・リスク対応の双方の観点を持つこと
勉強方法①:答案構成について
まずは論文用の問題集を購入しましょう。筆者は以下のテキストを使っていました(こちらも旧年度版のため、現在入手できる最新版を掲載しています)。
午後Ⅱは論文形式ではありますが、いきなり論文を書くのはしんどいので、テキストに付属している午後Ⅱの問題を、以下の流れで解いてみましょう。
- 問題文を見る
- 箇条書きで良いので、答案構成を作成する
- その答案構成と解答を比較して、どういう点が監査上求められているのかを確認する(その際に、リスク評価→リスク対応のプロセスに沿って書かれているかを理解する)
- テキストの過去問を2回転する
答案構成とは、論文を書くための下書きのようなもので、論文全体の流れと問題文の解答の内容を整理するために作成します。この答案構成が非常に重要で、この質で論文の出来が決まると言っても過言ではありません。
その答案構成を作成する際には、以下の点を重視すると良いでしょう。
- システム監査人の目線で答えているか?
- 起こり得るリスクの中身は何か?
- 監査人の立場でリスクを発見するための手続きは?
- そのリスクに対応するために、システム監査人が指導すべきことは?
システム監査技術者試験の論文は、システム監査人の立場で書くことが非常に重要であり、それができていないとIPAの採点講評で毎回のように言われています。ですので、システム監査人の立場ということを忘れずに解答すると良いと思います。
IPAの過去問題ページでは、システム監査技術者試験の過去問題・解答例・採点講評を確認できます。
筆者が学習する際には、以下のようにGoogleDocsに設問の下書きを書いてみて、実際の回答例と比較していました。

答案構成を作成するだけでも十分ではありますが、もし可能であれば、3回分くらいは論文を実際に書いてみるのが良いと思います。2026年度からはCBT方式になり、解答はキーボード入力になります。手書きの練習は不要になった分、本番と同じようにパソコンで文章を打つ練習をしておくと安心です(GoogleDocsなどで書いてみるのがおすすめです)。
生成AIが広く使われるようになったので、もし可能であれば生成AIにレビューをしてもらうとよいでしょう。
さいごに
今回はシステム監査技術者試験の勉強方法について記載しました。
システム監査は監査独特の考え方を身につけるのに苦労しますが、他の分野と比較してシステムに関する専門性が問われることが少ないので、会計士などの監査業務に携わる人にとっては勉強しやすいのではないでしょうか。
この記事が学習の手助けになれば幸いです。
また、弊社では、システム監査やIT統制構築支援といった業務を行っているため、システム監査などにお困りの方は、お気軽にお申し付けください。
システム監査技術者試験に3ヶ月で合格する勉強法【2026年度版】
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