エンジニアが会社を設立する前に知っておきたいポイント

エンジニアが会社を設立する理由

エンジニアとしてフリーランスや副業を行う方の中には、いずれ自分の会社を持ちたいと考える方も多いでしょう。しかし、会社設立のタイミングや形態については多くの疑問やハードルを感じることがあるかもしれません。

この記事では、会社設立のメリット・デメリットを解説するとともに、設立時に注意すべきポイントをお伝えします。これを読めば、会社設立への不安が軽減され、スムーズな準備が進められるでしょう!

想定読者

  • 会社を立てたいと思うエンジニアや起業志望の方
  • 個人事業にするか法人化するか迷っている方
  • 株式会社か合同会社か迷っている方

会社設立を考える理由

会社とはなにか

そもそも会社とはなんでしょう?

会社とは法人の一種類です。法人とは、人間(自然人)でないにもかかわらず、人間と同じように権利義務の帰属主体(=契約主体)になり得るものを指します。

法人を設立する主なメリットは以下になります。

  • 税金面でのメリットを享受したい
    事業が順調に利益を出し始めると、個人事業よりも会社の方が税金面で有利と感じるケースがあります。一定額の利益が出る場合、法人税の方が所得税より税率が低くなることがあるため、税金面のメリットを受けたい時に法人化することが多いです。
  • 資金調達の可能性を広げたい
    会社を設立することで、投資家や金融機関からの資金調達がしやすくなると言われています。
  • 採用や上場を見据えたステップアップ
    将来的に人を採用したり、会社を上場したいと考える場合、法人化した方が有利になるケースが多いです。また、契約を法人名義で出来ることから契約関係がクリアになる、有限責任の法人である場合は倒産した場合に役員にまで保証がいかないケースがあるなどのメリットがあります。

法人形体について

会社には、合名会社・合資会社・合同会社・株式会社の4形体があります。これらの違い大まかに以下のようになっております。

原則的に、無限責任or有限責任、所有と経営の一致or分離というマトリクスになっております。原則的に無限責任を選ぶ選択肢は取りえないため、通常は合同会社か株式会社を選べばよいでしょう!

合同会社か株式会社かを選ぶのは悩ましいと思いますが、少しでも外部調達を行う可能性がある・共同経営を行う場合は、株式会社を選べば差し支えません。迷ったら株式会社にすれば間違いはないでしょう。


会社設立のメリットとデメリット

法人形態について決めた後は、そもそも法人化をするかを考える必要があります。

法人化のメリット・デメリットは、個人事業主と比較すると、以下のようになります。

メリット

  1. 税制面の優遇が多い
    法人化することで、経費として認められる範囲が広がる・法人税の税制的優遇が大きいため、一定の利益がでているのであれば法人にするほうがメリットがあるでしょう。
  2. 社会的信用が向上
    法人は個人事業よりも信用度が高く、取引や採用がスムーズになります。
  3. 資金調達の可能性が広がる
    法人形態なら、銀行融資や投資家からの資金調達がしやすくなります。特に株式会社の場合はVCなどの投資家からの出資を受けるために株式発行を行うなど、機動的な調達が行いやすくなります。

デメリット

  1. 事務手続きが増える
    個人とは別人格であることから、個人とは別の事務手続きが必要になってしまいます。
    人を採用する場合には、社会保険や労働保険の手続き、労務管理などが必要になり、経理作業のみならず労務作業が増えます。
  2. 決算業務の複雑化
    法人の決算は個人事業よりも煩雑であることが多く、法人における税理士関与割合は概ね90%弱という統計があります。
    そうしたことから、決算業務が個人事業主に比較して増加するケースが多いです。
  3. 運営コストが高い
    法人の運営コストは一般的に個人に比較して高いです。また、法人は赤字の場合でも年7万円の均等割を最低支払わないといけないし、解散や清算するにもお金がかかります。そうした観点から、辞めづらい要素はあると思います。

会社設立時に考えるべきポイント

1. 拡張性を考慮する

会社を設立した後、思わぬ方向に事業が展開することがあります。例えば:

  • 最初はIPOを目指していなかったのに、IPOをしたくなった場合
  • 当初予定していなかった資金調達をする必要が出てくる場合
  • 共同創業者との意見の相違で揉める場合

こうしたリスクに備えて、創業時点で契約やリスクヘッジをしっかり考えておきましょう。こうしたリスクをヘッジするために、税理士などと事前に相談しておくのが推奨です。


2. 株式の価格設定

資金調達を行う可能性がある場合は、株式の価格設定を慎重に行いましょう。

迷った際には株式分割などを行わないために、1株1円に設定することがおすすめです、なぜなら、1株あたりの金額が大きい場合には、株式分割などを行わなければならないことがあり、追加の登記コストがかかるケースなどもあるためです。


地域の支援制度を活用

自治体によっては、登録免許税の軽減や融資制度など、会社設立を支援する取り組みを実施しています。

専門家や役所に相談して、利用可能な制度を確認しましょう。


事務コストの増加を見据える

会社設立後、従業員数が増えるごとに事務コストも増加します。例えば、人数ごとに以下のような業務が発生することがあります。

  • 設立直後: 銀行口座開設や社会保険手続き
  • 5人以上: 人事や労務管理業務の増加
  • 10人以上: 就業規則の作成義務や源泉税の毎月納付など
  • 30人以上: 組織運営の複雑化(いわゆる30人の壁)

事務コストは放置しておくと後ほど大変になることが多いため、従業員が5人以上になる段階で、パートでも構わないので事務員を採用するのがおすすめです。事務作業が苦手な方ほど、このタイミングで採用することで、業務効率が大幅に向上します。


おわりに

会社設立は、多くの人にとっては重要な決断になります。
メリット・デメリットをしっかり理解し、専門家に相談しながら準備を進めれば、スムーズにスタートを切ることができるでしょう。

次の記事では、具体的な会社設立の流れや必要な手続きについて解説します!

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