はじめに
テクノロジーが発展してきた現代では、会計業務とテクノロジーは切っても切り離せない関係にあると考えられる。とはいえ、何から学べば良いのか分からないと考える方も非常に多いと思います。
そこで、本記事において、会計業務にITがどうやって絡んでくるか、学ぶべき領域と学ぶべき理由について解説を行います!
会計業務とITの絡み
会計は情報連携がキモ
以下の図解は簿記一連の流れを説明したものです。
簿記とは、企業活動を仕訳という形に変換し、それを財務諸表としてまとめるプロセスになります。仕訳を切るための能力を測定するのが日商簿記検定のような資格試験の領域になります。
しかし、実務では簿記検定のように仕訳を作るための情報が網羅的に与えられておりません。実務では自ら仕訳の元となる情報を取得・加工し、仕訳に変換する必要があるのです。
会計業務におけるITの役割は、仕訳を容易に作るための情報連携
前項において、会計業務において、仕訳の元となる情報を取得・加工し、仕訳に変換するプロセスが大事だと述べてきました。それでは、会計業務とITの役割は何になるでしょう?
結論から言うと、会計業務におけるITの役割は、仕訳に必要な情報の取得・加工がしやすい体制を作ることにほかなりません。
会計業務において有用な情報は、以下のように定義出来ると考えられます。
- 仕訳の元データがシステムから網羅的に出力されること
- 仕訳等のフォーマットに加工しやすい形式に情報が保持されていること
どちらが欠けていても有用な情報連携が出来ないため、会計業務においてIT化を進めるためには、上記2点に留意しましょう。なお、以下でそれぞれが欠けてはならない理由について解説します。
仕訳の元データがシステムから網羅的に出力されること
仕訳を作成するためには、必要な情報が網羅的に出力されていることが担保されている必要があります。仮にデータの内容が欠けていたり、取得タイミングでデータの内容が変わってしまったりした場合には、信頼できる情報源にはなり得ません。
したがって、元データが適切に取得できるような形にする必要があります。
仕訳等のフォーマットに加工しやすい形式に情報が保持されていること
仮に情報を取得出来たとしても、セル結合があったり、テーブル上にデータが整理されていなかったりすると、Excel等を用いて仕訳形式に変換することが困難になります。そのため、Excel等の機会で加工しやすい形でデータを保持する必要があります。
なお、経済産業省が機械判読可能なデータ作成に関する表記方法についてまとめておりますので、興味がある方は参照にしてください。
学ぶべき領域とその学び方
前段落で、会計業務におけるITの役割は、仕訳を容易に作るための情報連携体制を構築することだと記載いたしました。
それぞれの要件を満たすために必要な知識は以下の通りになります。
仕訳の元データがシステムから網羅的に出力されること:データ連携に関する知識
仕訳等のフォーマットに加工しやすい形式に情報が保持されていること:データ加工に関する知識
本段落では、それぞれの知識の中身と身につけるための要件を解説します。
1. データ連携に関する領域
業務フローに関する知識
情報連携をシッカリと行うためにはビジネスに関する知識が必須です。業務フローを理解することで、各業務プロセスがどのように相互に関連しているのか、データがどのように連携されるのかを把握することができます。これにより、より効率的なデータ連携とプロセスの構築をするための知識が身につきます。
業務フローに関する知識を身に着けるためには、業務フローの全体像を理解することが重要です。例えば以下の本などを用いて一般的な業務フローを学ぶ、自らが所属する会社の業務フローを整理する練習をするのが良いでしょう。
データモデルに関する知識
良いデータを作るためには、良いデータ構造を考える必要があります。そのために作るのがデータモデルです。データモデルは、データがどのように構造化され、どのように関連しているのかを理解するための枠組みです。これを理解することで、より正確なデータ解析と、将来的にスケールするためのより柔軟なデータ基盤の設計が可能になります。 データモデルを構築するための知識として正規化等があるため、データベースに関する知識と一緒に学ぶとよいでしょう。
データモデルに関しては渡辺さんのこの本が整理されていて面白いです。あとはデータベーススペシャリストのテキストなどを用いてER図を実際に書いてみるのが良いでしょう。
APIに関する知識
APIとは、さっくり言うと「システムの機能のカタマリを外部から呼び出すための仕様」のことを指します。現代においてはシステム同士をAPIで繋いで1つの大きな業務プロセスを作ることが重要になります。
APIの仕組みを理解することで、より効率的なシステム間の連携を実現することが出来るようになります。
APIについては、Google Apps Script等の言語を用いて実際に叩いてみるのがオススメです。
2. データの加工に関する領域
SQLに関する知識
SQLとは、データベースから必要なデータを効率よく取得、加工するための言語です。 会計業務はExcel等を中心として行うかと思いますが、SQLを学ぶことで元のシステムからどのようにデータを取得して集約して用いるかの知識を学ぶことが出来ます。
SQLについては世の中に入門書が溢れていますが、私はこの本が良いと思いました。
GASやVBAのプログラミング
GASやVBAを理解していると、Google スプレッドシート等の加工処理を自動化したりすることができます。例えば、原価計算の配賦計算を自動で行ったり、APIを定期実行して取得したデータを仕訳形式に自動加工するようなシステムを作ることが出来ます。
GASやVBAについては世の中に専門書が溢れているので、好きな本を手にとって学んで頂くのがオススメです。
また、手前味噌ですが、以下のような入門書を書いたので、もし興味があれば読んで頂けると幸いです(注意:本書で用いているfreeeAPIの仕様が結構変わってしまったので、使用の際は注意してください)。
さいごに
最後までお読み頂きありがとうございました。
会計人材は情報連携を行う立場と定義して、それに関連して必要なIT知識などについて解説をしていきました。IT分野は幅広いため、領域を絞って学ぶことがオススメです。もし勉強方法や、テクノロジーに関しての相談がありましたら、Twitterアカウントや本お問い合わせフォームよりご相談ください!
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